コラム

2017.03.30 

地震に強いマンションを選ぶ!「耐震性」を見分けるポイント

地震大国と言われる日本。国の地震調査委員会が2016年に発表した「全国地震動予測地図」では、今後30年以内に震度6弱以上の地震が起こる確率50%以上とされた都道府県は13府県にも上ります。中でも千葉市85%、横浜市81%など関東地方は今後、大地震に見舞われる可能性が高いと考えられています。

これから中古マンションの購入およびリノベーションを考える場合、物件選びでは地震に対する強さすなわち「耐震性能」についても十分に注目したいところです。そこで今回は、マンションの耐震性能についてお伝えします。

建物の耐震性能は建てられた時代により異なる?

 

建物を地震から守るために満たすべき基準は、建築基準法に定められています。これは「耐震基準」と呼ばれ、すべての建物はこの基準を満たして建てる必要があります。つまり、違法建築物でない限りすべての建物は一定の耐震基準を満たしていると言えるはずです。

しかし実際には、建築基準法を満たして建てられたはずの建物でも耐震性能には差があります。というのも、耐震基準は大きな地震が起こるたびに改正が繰り返されてきたという歴史があるためです。このため、建てられた時代により満たしている基準が異なっているのです。

 

耐震性能を判断する注目点「新耐震」と「旧耐震」

 

耐震基準の改正でも特に大きな変更となったのは、1978年の宮城県沖地震の被害状況を受けて1981年に行われた建築基準法改正でした。この改正により、それ以前と比べて必要とされる壁や筋交いの量や強度が大きく増加したのです。この改正はターニングポイントとされ、この改正以降の耐震基準を「新耐震」と呼び、それ以前の「旧耐震」と区別されています。

旧耐震が「震度5程度の地震で倒壊しない」ための基準だったのに対し、新耐震では「震度5程度の地震では軽度なひび割れ程度」「震度6~7程度の地震で倒壊しない」ことを求める基準となっています。

この改正後に起こった阪神・淡路大震災では、旧耐震の建物の被害の大きさに比べ、新耐震の建物では大きな被害が少なかったことがわかっています。

 

新耐震か旧耐震かだけでは判断できない

新耐震基準が施行されたのは1981年6月1日のことでした。つまり、この日以降に建築確認を受けて着工したマンションであれば新耐震が適用されていることになり、比較的耐震性が高いと考えられます。

 

しかし、単純に「新耐震なら安全」「旧耐震は耐震性に問題がある」と言い切れるものではありません。前述の通り、耐震基準は改正を繰り返してきました。1981年の大改正の以前にも、それ以降にも基準の改正は行われています。旧耐震時代に作られたいわゆる「ヴィンテージマンション」には、高い耐震性能が認められているものもあります。一方、2016年4月の熊本地震では新耐震の建物にも倒壊などの被害が生じています。

 

新耐震と旧耐震は一つの目安にはなりますが、修繕の履歴や計画などにも注目し、総合的に判断するのが大切だと言えるでしょう。